首輪かハーネスか

『プリン』は、飼い主さんのところに来たときから、一度も首輪を着けたことがありませんでした。ショップの店員さんから「チワワだったら、ハーネスですよ」と勧められたからだそうです。私にはその理由がよくわかりません。

ハーネスは、もともとソリや荷車を引く犬たちに着けられていたもので「なるべく犬の体にかかる負担を少なくして、最大の力でソリや荷車を引っ張れるように考えられた道具」です。「犬」を「プリン」、「ソリ」を「飼い主さん」に置き換えると、「なるべくプリンの体にかかる負担を少なくして、最大の力で飼い主さんを引っ張れるように考えられた道具」ということになります。

つまり犬は、心地良く飼い主さんを引っ張ることができ、結果、思い切り引っ張ることを学習するのです。

プリンのお散歩レッスンの日、「首輪がないのでハーネスでお願いします」と飼い主さんからリードとおそろいの柄のハーネスを差し出されました。私としては、犬を飼っているのに首輪がないということが理解できなかったのですが、時代なのでしょうか、最近ではショップの店員さんや獣医さんがハーネスを勧めているそうです。お店によっては、首輪よりハーネスの方が品ぞろえが多いところもあるそうです。

首輪=苦しい、と考えている人が多いようですが、それは「引っ張らせてしまうから」苦しいのであって、引っ張らない犬にとっては首輪はとくに苦しいものではありません。飼い主さんは、引っ張らないように歩くことを愛犬に教えるべきだと思います。

ハーネスによるお散歩レッスンは、私にとっても初めてのチャレンジでした。案の定、プリンはあっちへこっちへ行きたいほうにフラフラ。多少ハーネスを引いたくらいでは、こちらのメッセージは全然伝わりません。

強く引いてみても、心地良きそうにリードの先で四肢を広げて、まるで亀のようにぷらさがる程度です。これでは、正しい歩き方を教えられそうにありません。

さすがに飼い主さんもその状態を見て急ぎょお散歩のコースを変更し、ペットショップで首輪を買うことに。幸い同じ柄がありました!

早速着けてみると、最初は首輪に慣れていないので大抵抗。まさにまな板の上で暴れるウナギ状態でした(笑)。しかしやはりまだ子犬です。5分もしないうちにあきらめました。犬を何かに慣ら歩作業は、本当に小さいころから始勧るべきだと実感します。

あきらめてからは、さっきまでのプリンとは打って変わって、まるで別犬のように素直にズタズタと歩き始めました。「あー、びっくりした。何だー、こうやって歩けばいいのね」とでも言っているように、じつに上手に歩き始めました。やはりお散歩レッスンは首輪に限る」と確信した瞬間でもありました。

あまりの変身ぶりに飼い主さんも驚き、そして大喜び。本当にうれしかったようで、そろそろレッスン終了時間だというのに、勝手にズタズタ歩き出し、なかなか戻ってきてくれませんでした。

のどに不具合や持病などがある場合や老犬には、ハーネスのほうが体にやさしいかもしれません。ただ、引っ張って苦しそうだからという理由でハーネスにしてしまうと、よけいに引っ張る癖がついてしまうので気を付けてください。首輪が苦しいのは、引っ張らない歩き方を教えてあげなかったからで、首輪そのものが苦しいわけではないのです。

自分の理想の歩き方を教えて、それを上手に導いたら、人と犬は上手に歩くことができるようになります。チワワの散歩のしつけ方については https://xn--08jl3b8yuha.jp/ が参考になります。歩調を合わせて歩めるひとりと1頭は、これからの人生もうまく付き合っていけることでしょう。これも犬の話です(笑)。

 

チワワってどれくらい敏感?

チワワの『ハナ』の飼い主さんは20代後半の女性。一度ひどく噛まれて出血してから、ハナが怖くなってしまったそうです。

私が伺ったときには、飼い主さんはほとんどハナをさわれない状態でした。

 

こういったケースでは、まずは飼い主さんの恐怖心を取りのぞくことから始めなければいけません。ベースプログラムを含め、いくつかアドバイスをしてトレーニングを開始しましたが、ある日、飼い主さんがこんな話をしてくれました。

「先日、ハナが私の前でリラックスした様子で横だわって寝ていて、その姿がなんだか愛おしく感じて思わずお腹をなでていました。自分でもびっくりしたんですけど……。でもすぐに、やっぱり怖いという感情が戻って来てしまって。するとその瞬間、ハナが頭を上げたんです」

幸い噛まれることはなかったそうですが、心の中で怖いと思っただけなのに、それがハナに伝わったことに飼い主さんは驚いていました。

私は、この出来事は偶然ではなく、ハナが飼い主さんの心の動きに反応して起きた事だと思いました。犬はそれくらい敏感な動物だと思います。人間だって、とても親しい間柄では、その人の気持ちを感じ取れることがありますよね?

以前通っていた訓練所で、こんな経験をしました。犬を横につけて歩く脚側歩行(自分の左足の太ももあたりを軽くたたいて「ツケ」の指示を出して、自分の横についてくるように犬を促して歩き出し、止まると犬は訓練士の横で座る)の訓練をしていたときのことです。

何度か止まって座らせていると、犬の頭が私のひざよりもだんだん前に出てきました。訓練所で見習いをしていたころの私は、先生や先輩からだたいたり蹴ったりの体罰を使うよう指導されていました。

この場合は、前に出てさたら手を出してたたくような感じで止めるのですが、上級生になると少々プライドがあり、できれば気合いで座らせたくて、手を出すのをためらっていました。そんな私の訓練を見ていた校長が、「どんどん前に出るぞ。一発入れなさい」と、アドバイスをくれました。校長に言われては従わないわけにはいきません。

「よし! 校長がそう言うなら、次はたたこう」。心を決めて「ツケ」の合図を出し、ゆっくり歩き始劭、止まりました。すると、犬は。ぴったりと私の横で止まって座り、前には出ませんでした。前に出てはいないのでたたけません。それを確認した校長はひと言、「最初からその気持ちでやれ」と言いました。

言葉を使わず、力を使わず犬と気持ちのやりとりをすることを感じた瞬間でした。

動物の敏感さを証明する「賢馬ハンス」の話をご紹介します。

1891年、調教師ウィリアム・フォン・オステンの馬『ハンス』は、簡単な計算を解くことができるということで一躍有名になりました。ところが、多くの科学者たちがこの謎を解こうピ観察を続けたところ、数年後、問題をハンスだけに見せると答えられないことが判明しました。

じつはハンスは、問題の答えを知っている人たちの表情や息づかいなどから答えを察知し、蹄で地面をたたいていたとわかったのです。動物の感じる力って、本当にすごいですよね。

人も似たような力を持っていると思います。とくにご夫婦や恋人同士は、相手のちょっとした気持ちの動きなどがよくわかったりしませんか?

 

留守番できる犬にするにはハウストレーニングが大事

前回の留守番できないチワワの話の続きです。

コタローは留守番のあいだキッチンに閉じ込められることになりました。粗相をする可能性がありましたので、掃除しやすいキッチンが選ばれたのです。キッチンとリビングルームのあいだに棚が取り付けられ、これでカーペットのエリアでの粗相も、ティッシュにもブラインドにも手を出すことはできなくなりました。

ハウストレーニングの強化もお願いしました。ふだんの生活で一緒にいられるときも、時間を決めてハウスに入れて無視すること。子犬のころには遊ぶとき以外はグレートに入れていたそうなので、コタローがハウスに入ることに慣れるのは、飼い主さんが「かわいそう」と思わなくなるよりも早いと思います。

ハウスに閉じ込めたら、コタローはもちろん文句を言うでしょうが、徹底的に無視しなくてはなりません。中途半端に「こら!」と声をかけるのもやめましょう。吠えるのをやめないのなら、単に気を引かれているだけになってしまいます。

ハウストレーニングに失敗してしまう多くの飼い主さんが、この「根比べ」に負けてしまうのです。「キュウキュウ」と悲しげに聞こえる鳴き声も、本当に悲しいのではありません。あきらめの悪い犬は、そのうちギャンギャン言い出します。そこまでくるとさすがに近所迷惑が気になってハウスから出してしまう。犬は、ギャンギャン鳴けば出してもらえるという学習をする。結果、ハウスに入れない犬になってしまう……。そういったケースをたくさん見てきました。

しつけは、とにかく根気が大事。根気がすべてといってもいいでしょう。ほんのわずかでも、飼い主さんには愛犬より辛抱強くなっていただきたいのです。

一緒に寝てはいけないと「わかっていたけれど、やめられなかった」と告白してくれたコタローの飼い主さん。でも、私から「ダメです!」とビシッと言われ、ご主人に背中を押され、泣く泣く決心してくれました。そのときの飼い主さんの感想がおもしろかったので、引用します。

「本当は、一緒に寝るのはよくないんだろうと知りつつ、やめられずにいた私です。そろそろフラれるんじゃないかと思いながら、ドキドキして彼氏に会いにいったら、案の定フラれてしまった、みたいな気分でした」

コタローのケースでは、「一緒に寝ないでください」とお願いしましたが、誰もがみな一緒に寝てはいけないわけではありません。ちなみに、私は犬たちと一緒に寝ています。とくに困った行動がなければ、犬と一緒に寝ることは悪いことではありません。もちろん、一緒に寝る必要もありません。飼い主さんが愛犬と快く思える付き合い方を選ぶべきだと思っています。

ウチのチワワは、寝るときは必ず私の顔のそばにきて、どこか体の一部をくっつけて寝ます。たまに私の首や顔に自分の顔を乗せます。それをドックトレーナー仲間に話したら、「それってNGでしょ!」と言われました。犬が体の一部を乗せるときは自分が上位であることを示している、という説があるためでしょうが、ウチのチワワが私より上位だと思っているなんて感じたことはまったくありません。指示にもよく従いますので、私に甘えている行動かと思っています。

わが家の犬たちは、朝に私を起こすようなことは絶対にしません。私が起きたのを確認してから顔のそばに来ます。目が覚めても起き上がりたくないときは「ヴーツ」と小さくうなるとあきらめて引き上げ、また寝ます。「うるさい!」とか「こら!」とか言う必要はまったくなく、小さくうなるだけで十分です。

コタローの飼い主さんには前述のお願いのほかに、出かけるときは淡々と出かけ、帰ってきたときもしばらく声をかけないで、落ち着いたころに「ただいま」のあいさつをするようお願いしました。

これらをしてはいけない理由は、かまってくれた人がいなくなるのと無視していた人がいなくなるのとでは、無視していた人がいなくなるほうが「残念感」が少なくて済むからです。おじいちゃんとおばあちゃんが遊びに来てくれたとして、おじいちゃんはあまり遊んでくれないので帰ってもさみしくないけれど、おばあちゃんは遊んでくれるので帰ってしまうとさみしい、という感情に似ているかと思います。

2回目のレッスンで伺ったときには、コタローはドアホンに多少吠えたものの、飼い主さんの「ハウス」のコマンドですぐにハウスに入り、「ステイ」のコマンドで、ハウスのなかでじっとしていることができるようになっていました。コタローの表情は「つらいけど我慢している」というよりは、コマンドを楽しんでいるようでした。たくさん練習してくれた証です。

しかし、そこまで来るのにはなかなか苦労があったようです。最初につけたゲートは軽々と越えられてしまい、帰宅して「今日は大丈夫?」と車から降りると、いつもと同じようにブラインドの穴から、ちょこんとコタローの顔が見えたこともあったとか。がっかりするやらかわいいやらで、拍子抜けしてしまったそうです。

「愛犬をより賢く!」ということで作戦を変更。飼い主さんはゲートの高さを上げ、脱走できないように対処しました。乗り越えられないと分かったコタローは、嫌がらせにキッチンにおしっこやうんちをしまくったそうですが、もともと汚れることを想定されて作られているキッチンの床材は、掃除も簡単。

「愛犬の根気に負けるな」をスロ-ガンにがんばった結果、今では飼い主さんが出かける気配を感じると、コタローは自らキッチンヘ入ってごほうびのビスケットを待っているほどになりました。そんなコタローを見て飼い主さんがひと言、「やればできるんですね」。そう、やればできるんです、飼い主さんも。

 

留守番だけができないチワワ

チワワの『コタロー』の飼い主さんは、私が同じチワワの飼い主であること、私の愛犬がコタローに似ていたことで相談を受けました。

当時いただいたメールには、「『オスワリ』や『フセ』はもちろんのこと、呼べばちゃんと来るし、離れての『マテ』もちゃんとできるし、『ロールオーバー(寝そべってコロンと回転する芸)』も、おもちゃだって片づけられます。芸はたくさんできるんです。でも……すごく吠えるし、留守番ができないんです!」とありました。

じつはこのようなケースは多いんです。芸ができることと、しつけができていることはまったく別。そんな芸だって、気が向いたらやってくれる、では意味がありません。「オスワリ」や「フセ」、「マテ」は、犬が座りたくないときに座ってくれてこそ、初めてしつけができていると言えるのです。

たとえばお客さんが来て、うれしくて飛びつきそうになったとき、「オスワリ」の指示で座らせることができたら、飛びつきを防ぐことができます。飛びつきたい気持ちに、飼い主の指示に従おうという犬の気持ちが勝つ必要があるのです。

コタローは、飼い主さんが外出の支度を始めると、気配を感じてストーカーのようについて回り、ひとりで留守番をさせると、ティッシュペーパーを引っ張り出し、ゴミ箱をひっくり返し、ソファやブラインドを噛みちぎり、壁紙やドアを引っかいてボロボロにするそうです。

さらに、カーペットの上にはうんちをして、洗濯物の上にはおしっこをするという徹底ぶり。ある意味、すばらしいエネルギーなのですが……。

そんなにされてしまうのに、なぜチワワをハウスに入れないのか尋ねてみました。以前ハウスに入れて外出してみたところ、何時間も吠えっぱなしだったようで、ひげはよだれでベトベトになり、ハウス内で大量のうんちをしていたそうです。

「こんな調子なので、非常に不安を感じています」とおっしやる飼い主さん。そんな事情ならと、レッスンを引き受けました。飼い主さん宅に伺いドアホンを鳴らすと、吠える声が聞こえてきました。威嚇とも違う、何か自信なさそうな声です。

ドアを開けると、わが家の愛犬たちとそっくりな動きで飛びつき、吠えていました。飼い主さんは「うるさい!やめなさい!」と声をかけますが、やめるはずもなく。「止まらないと思うので、放っておきましょう」とアドバイスしました。今ここで、そのエネルギーを使うのはもったいないです。

吠える様子から噛まれる可能性は低かったので、そのままつかつかと部屋に入り、案内されたソファに座ってしまうと、コタローは吠えるのをやめ、思いっきり腰が引けながらも私のニオイを嗅ぎ始めました。カウンセリングを始めるころにはそれなりに落ち着きました。

ふと窓のブラインドに目をやると、ちょうどコタローの頭の高さに、コタローの頭の大きさの穴があいていました。穴を覗くと、ちょうど飼い主さんが停めた車が見えます。その正確さには、思わず感心してしまったほど。

「これをやめてくれるまで、ブラインドは買い替えられません」と飼い主さん。けっこうお高かったそうです。お気持ち、お察しします。

留守番中のいたずらは、犬が「不安や不満を感じた」というサインです。エネルギーがあり余っている場合もあります。不安や不満を消すために、快感を得られる行動で紛らわすのは人も犬も同じです。犬は排泄したり、穴を掘ったり、かじったり、破壊したり、吠えたりすることで快感を得て、不安や不満を消そうとします。

なので、留守番ができるようにするためには、まず不安や不満を取りのぞいてやること、飼い主と離れることに慣れさせ、あきらめ、がまんすることを教えることが大事になります。

そんな話をしていると「あの……、コタローと一緒に寝ているんですが、ダメですか?」と、飼い主さんが自ら白状しました。

子犬のころにハウストレーニング(サークル、ゲージ、グレートにひとりで長時間入っていられるトレーニング)をしていなかったり、自立心がきちんと育まれる前にやめてしまったりすると、飼い主への依存が強くなりすぎ、留守番が苦手になってしまう場合があります。とくに、親兄弟から早いうちに離されてしまったりして、不安な環境で飼育された経験があったり、生まれつき神経質だったりする場合には顕著に出てしまうことがあるのです。

子犬を迎えるときにそういう性質を見分けるのは、一般の飼い主さんには難しいと思います。ひと目惚れで買った場合には、そんなことを考える余地もないことでしょう。

どうひいき目に見ても、コタローは、自立した立派な男子には見えませんでした。私はそんなところも好きなのですが、問題が出た以上、そんなことは言っていられません。

コタローのためにも、正しい自立を手伝う作業が必要だと考えた私は、留守中にコタローが不安や不満を感じてパニックを起こさないよう、飼い主さんも心地良い距離感を持てるよう、ベースプログラムを実施してもらいました。もちろん、一緒に寝るのは中止です。

そのほかに具体的なアドバイスとして、留守中のチューイの行動範囲を制限してもらうようにお願いしました。ブラインドをかじられるなら、ブラインドにアクセスできないようにすればいいのです。そのためには、チワワの行動範囲を制限する必要があります。しかし、飼い主さんは「でも何か、かわいそうで……」とおっしやる。そんな飼い主さん、けっこう多いです。そこで、2つの選択肢を天秤にかけてみます。

①ブラインドをかじられ続ける(当分買い替えられず穴があいたまま)

②慣れるまでのあいだ、行動範囲を制限する(慣れてくれるまでの辛抱)

さて、どちらがチワワと家庭のためになるでしょうか?そして、トレーニングの結果はどうなったのでしょうか?

その結果はまた次回書きたいと思います。

 

ウンチが終わったらおやつを

飼い主さんはカウンターキッチンの向こうでお茶を入れてくださっていました。私はそれに向き合う状態で座っており、私の後方にチワワのゲージがありました。カウンター越しに世間話をしていると飼い主さんが「あっ!」と叫んで慌ててキッチンから飛び出し、チワワのゲージに向かいました。びっくりして振り返ると、チワワが自分の肛門に口をつけてクルクル回り、お尻から出るうんちを床に落ちる前に食べてしまったのです!

「はい、完食です……」と悔しそうな飼い主さん。毎日競争なのだそうです。しかしこの競争こそが、チワワの「うんち早食い」の行動を引き起こしている可能性があります。私は飼い主さんに、うんちをしても慌てず、「あっ!」などと声を出さず、できるだけ落ち着いて行動するようにお願いしました。

具体的な対処方法としては、うんちをしたらトイレから少し離れた同じ場所で、大好きな食べものを必ず与えることにしました。これは「うんちをしたらそこに行けばおやつがもらえる」と学習させることで、チワワをできるだけ早くうんちから引き離すことが目的です。おやつが欲しくて、チワワが自らうんちから離れるようになれば、飼い主さんがうんちを拾いやすくなります。

うんちを食べてしまう理由として、お腹が空いているからという説もありますが、私はそれはあまり関係ないと思っています。犬の満腹中枢は壊れているという説もありますし、そうなると基本的には「いくら食べてもお腹が空いている」ということになります。うんちを食べてほしくないからといって、ドックフードの量を増やすのは意味がないし、愛犬を太らせてしまうことになりかねないので注意が必要です。

チワワの場合は、飼い主さんの反応から後天的にうんちを食べることを覚えた可能性が高いのですが、自宅に迎えた子犬が最初から食糞をするケースも少なくありません。とくに、ペットショップから迎えた子犬に多いように感じます。

わが家のチワワが産んだ子犬の成長を観察していく過程で、「これが食糞の原因になるのかな」と思い当たる出来事がありました。子犬たちは生後37日目からシートの上に乗って排便することを覚え始め、、42日目からうんちに興味を示し、くわえようとし始めました。私が見ていられるときはうんちを片づけるようにしていましたが、急いでうんちに近づくと、子犬たちもすごい勢いで集まってくるので大変でした。放っておいたら明らかに食べてしまいそうな様子でしたが、わが家には子犬のほかに成犬がいて、うんちに興味を示している子犬がいても必ず別の犬が遊びに誘い、うんちへの興味はすぐに失われるようでした。

ペットショップのショーケースの中でひとりぼっちの子犬は、身近にうんちがあるとそれで遊び始め、そのうち食べてしまうことがあり得ると、容易に想像できました。

私が繁殖したときにお世話になったブリーダーさんからは、子犬の食糞を避けるために、「留守番など目を離すときには広いスペースに子犬を5頭一緒に入れて、おしつこやうんちができるだけ近くにない状態を保つのがよい」との指導を受けました。

4畳半くらいのスペースに子犬たちを放しておくと、排便のときにはなぜか真ん中ではなくちゃんと隅っこに行くようになりました。床はクッションフロアで、隅にはトイレシーツを敷いているのですが、ちゃんとそこへ行って排泄しました。

しかしながら、限られたスペースでのペットショップの環境では、そうはいかないでしょう。生後30日くらいで子犬は親から引き離され、うんちに興味を示し始めるころに、段ボールやガラスのショーケースに入れられることも珍しくないようです。

ペットショップのガラスケースを眺めていると、子犬が排泄をし、それで遊んだり食べたりする様子を見ることがあります。お店が忙しかったりすると、完食するまでスタッフが来ないこともしばしばあります。そんな環境で育ったら、食糞の習慣があっても不思議ではありません。

チワワの飼い主さんには、提案したトレーニングとベースプログラムを実施してもらいました。

トレーニングを始めたころは、チワワはうんちを食べるスピードを弱める気配はなかったそうですが、4~5日過ぎたあたりからおやつを用意する飼い主さんが気になり出し、食べている途中でもうんちから離れるようになったそうです。大きな最初の一歩です。成果を感じた飼い主さんは、「このトレーニングを根気よく続けていきます」と言ってくださいました。

そう言えば……。お宅へ伺ったとき、チワワはとても人なつこい子でしたので、私に近づいてきてペロペロと私の顔をなめてくれましたっけ。ということは…(笑)。