留守番できる犬にするにはハウストレーニングが大事

前回の留守番できないチワワの話の続きです。

コタローは留守番のあいだキッチンに閉じ込められることになりました。粗相をする可能性がありましたので、掃除しやすいキッチンが選ばれたのです。キッチンとリビングルームのあいだに棚が取り付けられ、これでカーペットのエリアでの粗相も、ティッシュにもブラインドにも手を出すことはできなくなりました。

ハウストレーニングの強化もお願いしました。ふだんの生活で一緒にいられるときも、時間を決めてハウスに入れて無視すること。子犬のころには遊ぶとき以外はグレートに入れていたそうなので、コタローがハウスに入ることに慣れるのは、飼い主さんが「かわいそう」と思わなくなるよりも早いと思います。

ハウスに閉じ込めたら、コタローはもちろん文句を言うでしょうが、徹底的に無視しなくてはなりません。中途半端に「こら!」と声をかけるのもやめましょう。吠えるのをやめないのなら、単に気を引かれているだけになってしまいます。

ハウストレーニングに失敗してしまう多くの飼い主さんが、この「根比べ」に負けてしまうのです。「キュウキュウ」と悲しげに聞こえる鳴き声も、本当に悲しいのではありません。あきらめの悪い犬は、そのうちギャンギャン言い出します。そこまでくるとさすがに近所迷惑が気になってハウスから出してしまう。犬は、ギャンギャン鳴けば出してもらえるという学習をする。結果、ハウスに入れない犬になってしまう……。そういったケースをたくさん見てきました。

しつけは、とにかく根気が大事。根気がすべてといってもいいでしょう。ほんのわずかでも、飼い主さんには愛犬より辛抱強くなっていただきたいのです。

一緒に寝てはいけないと「わかっていたけれど、やめられなかった」と告白してくれたコタローの飼い主さん。でも、私から「ダメです!」とビシッと言われ、ご主人に背中を押され、泣く泣く決心してくれました。そのときの飼い主さんの感想がおもしろかったので、引用します。

「本当は、一緒に寝るのはよくないんだろうと知りつつ、やめられずにいた私です。そろそろフラれるんじゃないかと思いながら、ドキドキして彼氏に会いにいったら、案の定フラれてしまった、みたいな気分でした」

コタローのケースでは、「一緒に寝ないでください」とお願いしましたが、誰もがみな一緒に寝てはいけないわけではありません。ちなみに、私は犬たちと一緒に寝ています。とくに困った行動がなければ、犬と一緒に寝ることは悪いことではありません。もちろん、一緒に寝る必要もありません。飼い主さんが愛犬と快く思える付き合い方を選ぶべきだと思っています。

ウチのチワワは、寝るときは必ず私の顔のそばにきて、どこか体の一部をくっつけて寝ます。たまに私の首や顔に自分の顔を乗せます。それをドックトレーナー仲間に話したら、「それってNGでしょ!」と言われました。犬が体の一部を乗せるときは自分が上位であることを示している、という説があるためでしょうが、ウチのチワワが私より上位だと思っているなんて感じたことはまったくありません。指示にもよく従いますので、私に甘えている行動かと思っています。

わが家の犬たちは、朝に私を起こすようなことは絶対にしません。私が起きたのを確認してから顔のそばに来ます。目が覚めても起き上がりたくないときは「ヴーツ」と小さくうなるとあきらめて引き上げ、また寝ます。「うるさい!」とか「こら!」とか言う必要はまったくなく、小さくうなるだけで十分です。

コタローの飼い主さんには前述のお願いのほかに、出かけるときは淡々と出かけ、帰ってきたときもしばらく声をかけないで、落ち着いたころに「ただいま」のあいさつをするようお願いしました。

これらをしてはいけない理由は、かまってくれた人がいなくなるのと無視していた人がいなくなるのとでは、無視していた人がいなくなるほうが「残念感」が少なくて済むからです。おじいちゃんとおばあちゃんが遊びに来てくれたとして、おじいちゃんはあまり遊んでくれないので帰ってもさみしくないけれど、おばあちゃんは遊んでくれるので帰ってしまうとさみしい、という感情に似ているかと思います。

2回目のレッスンで伺ったときには、コタローはドアホンに多少吠えたものの、飼い主さんの「ハウス」のコマンドですぐにハウスに入り、「ステイ」のコマンドで、ハウスのなかでじっとしていることができるようになっていました。コタローの表情は「つらいけど我慢している」というよりは、コマンドを楽しんでいるようでした。たくさん練習してくれた証です。

しかし、そこまで来るのにはなかなか苦労があったようです。最初につけたゲートは軽々と越えられてしまい、帰宅して「今日は大丈夫?」と車から降りると、いつもと同じようにブラインドの穴から、ちょこんとコタローの顔が見えたこともあったとか。がっかりするやらかわいいやらで、拍子抜けしてしまったそうです。

「愛犬をより賢く!」ということで作戦を変更。飼い主さんはゲートの高さを上げ、脱走できないように対処しました。乗り越えられないと分かったコタローは、嫌がらせにキッチンにおしっこやうんちをしまくったそうですが、もともと汚れることを想定されて作られているキッチンの床材は、掃除も簡単。

「愛犬の根気に負けるな」をスロ-ガンにがんばった結果、今では飼い主さんが出かける気配を感じると、コタローは自らキッチンヘ入ってごほうびのビスケットを待っているほどになりました。そんなコタローを見て飼い主さんがひと言、「やればできるんですね」。そう、やればできるんです、飼い主さんも。