チワワってどれくらい敏感?

チワワの『ハナ』の飼い主さんは20代後半の女性。一度ひどく噛まれて出血してから、ハナが怖くなってしまったそうです。

私が伺ったときには、飼い主さんはほとんどハナをさわれない状態でした。

 

こういったケースでは、まずは飼い主さんの恐怖心を取りのぞくことから始めなければいけません。ベースプログラムを含め、いくつかアドバイスをしてトレーニングを開始しましたが、ある日、飼い主さんがこんな話をしてくれました。

「先日、ハナが私の前でリラックスした様子で横だわって寝ていて、その姿がなんだか愛おしく感じて思わずお腹をなでていました。自分でもびっくりしたんですけど……。でもすぐに、やっぱり怖いという感情が戻って来てしまって。するとその瞬間、ハナが頭を上げたんです」

幸い噛まれることはなかったそうですが、心の中で怖いと思っただけなのに、それがハナに伝わったことに飼い主さんは驚いていました。

私は、この出来事は偶然ではなく、ハナが飼い主さんの心の動きに反応して起きた事だと思いました。犬はそれくらい敏感な動物だと思います。人間だって、とても親しい間柄では、その人の気持ちを感じ取れることがありますよね?

以前通っていた訓練所で、こんな経験をしました。犬を横につけて歩く脚側歩行(自分の左足の太ももあたりを軽くたたいて「ツケ」の指示を出して、自分の横についてくるように犬を促して歩き出し、止まると犬は訓練士の横で座る)の訓練をしていたときのことです。

何度か止まって座らせていると、犬の頭が私のひざよりもだんだん前に出てきました。訓練所で見習いをしていたころの私は、先生や先輩からだたいたり蹴ったりの体罰を使うよう指導されていました。

この場合は、前に出てさたら手を出してたたくような感じで止めるのですが、上級生になると少々プライドがあり、できれば気合いで座らせたくて、手を出すのをためらっていました。そんな私の訓練を見ていた校長が、「どんどん前に出るぞ。一発入れなさい」と、アドバイスをくれました。校長に言われては従わないわけにはいきません。

「よし! 校長がそう言うなら、次はたたこう」。心を決めて「ツケ」の合図を出し、ゆっくり歩き始劭、止まりました。すると、犬は。ぴったりと私の横で止まって座り、前には出ませんでした。前に出てはいないのでたたけません。それを確認した校長はひと言、「最初からその気持ちでやれ」と言いました。

言葉を使わず、力を使わず犬と気持ちのやりとりをすることを感じた瞬間でした。

動物の敏感さを証明する「賢馬ハンス」の話をご紹介します。

1891年、調教師ウィリアム・フォン・オステンの馬『ハンス』は、簡単な計算を解くことができるということで一躍有名になりました。ところが、多くの科学者たちがこの謎を解こうピ観察を続けたところ、数年後、問題をハンスだけに見せると答えられないことが判明しました。

じつはハンスは、問題の答えを知っている人たちの表情や息づかいなどから答えを察知し、蹄で地面をたたいていたとわかったのです。動物の感じる力って、本当にすごいですよね。

人も似たような力を持っていると思います。とくにご夫婦や恋人同士は、相手のちょっとした気持ちの動きなどがよくわかったりしませんか?